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2009年6月27日

「飯塚事件」 ~有罪の決め手は科警研が実施した精度の低いDNA型鑑定だった

飯塚事件についてはさきのエントリーで取り上げましたが、いずれ表面化してくると見ていましたが、今朝の中日新聞に出てきました。
中日新聞2009年6月27日

 昨年十月、七十歳で死刑が執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚の弁護人。


福岡県飯塚市で一九九二年二月、小学一年の女児二人を殺害したとして、殺人罪などに問われ、二〇〇六年に死刑が確定していた。
 後に「飯塚事件」と呼ばれるこの事件も有罪の決め手は、警察庁科学警察研究所(科警研)が実施したDNA型鑑定だった。足利事件と同様、黎明期の精度の低い鑑定だった。
 久間元死刑囚は、再審請求の準備が進んでいた昨年十月、死刑を執行された。「再鑑定できない証拠を裁判で採用する際には制限を設けるなど基準づくりが必要だ」。一時は憔悴し切っていた岩田弁護士は「死後再審」に向けて準備を進めている。
久間三千年元死刑囚から送られた手紙を読み返す岩田務弁護士。「死後再審」に向け準備を進めている=福岡市で

足利事件で一九九一年、菅家利和さん(六二)を殺人罪などで起訴した宇都宮地検の元幹部が取材にこう答えています。
「法律家は科学に弱い。新しい技術だからと信じてしまった。
これからも新しい科学的知見は出てくるだろうが、何を信じていいのか…」

これを読んで愕然としました。
「この元検察官は自分の存在を理解しているのだろうか」って。

この世には何でも知っている、なんでも理解できる人間など存在しません。あらゆる分野、業界が細部にわたり高度化しており、その筋の専門家に意見も聞かずに独断で判断してしまう人も、まずいません。
常識さえあれば・・・・、
まずは図書館へいって調べるでしょう。
その程度でわかることといったらほんの入門編であり、やはりその筋の専門家に最先端の事情を聞くことになると思います。
この検察官は「何を信じていいのか…」とのたまっていますが、大きな思い違いをしています。なにかを信じるのではなくて、専門家に教えを乞うて、一人ではわからなければセカンドオピニオンを求めることもでき、ようは自分の脳みそでまず考えることです。信じることとは次元の違うはなしです。

いくらDNA鑑定の黎明期だったからといっても、それを日本で初めて犯罪捜査に取り入れた帝京大の石山昱夫(いくお)名誉教授(法医学)が居られたわけです。そのほかにもDNAの専門家はゴマンといらっしゃったはずです。

なぜ、教えを乞わないのか。
理解できないままにして、どうして独断でやってしまえるのか。
この神経は、私にさっぱり理解できましぇん。

検察官だけではなく同じ司法試験を受けている裁判官にも共通していえることですが、この「わからないこともそのままにして判断・決定してしまう」性癖・行動パターンが冤罪事件を作りだしている大きな原因だと考えています。

専門すぎて自分では理解できない、判断できなければ専門家に聞いてください。
マジで、頼みますよ。



・・・ 久間元死刑囚は、再審請求の準備が進んでいた昨年十月、死刑を執行された ・・・
中日新聞2009年6月27日 クリックで原寸大 ↓
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   ■ 先の60人を飛び越えて上告棄却からわずか2年で死刑が執行されてしまった --> こちら
   ■ 上告棄却からわずか2年で死刑執行 ~飯塚事件 --> こちら

【 高知白バイ事件 国賠訴訟 】
なにも足利事件や飯塚事件だけではありません。現在、国家賠償請求訴訟で訴えられている高知県警ら「高知白バイ事件」でも、問題になっている部分は物理が大きくかかわるところであり、科学的であり、論理的であり、その点では同じことであり、「法律家は科学に弱い。」がモロに直面している事件です。
裁判長ら裁判官は「高知白バイ事件」で提出されている国賠訴訟の訴状を読まれている最中だと思います。一か月かけてじっくり読み込みたいということですが、そこに記述されていることでどうにも理解できないことがあれば、交通事故解析の専門家や、写真の専門家、コンピュータによる画像処理の専門家の意見をぜひお聞きください。
たとえ独力で理解できたとしても、念のため専門家の意見を確認してください。思わぬ見解が得られるはずです。
そして、再調査に動くはずです。裁判をやり直さなければ著しく正義に反すると判断を下されることになるはずです。
確信をもって進言します。


投稿者 hal : 2009年6月27日 16:07

コメント

こんばんわ。

>採取した血液などの試料を科捜研などが使いきっているからだ。

あまり事件を知らないですが、被害者側に残された犯人のものと思われる試料、又は、久間三千年さんの試料、どちらを使い切ってしまったのでしょう。

単純に考えれば、弁護側は、久間三千年さんの毛髪などを再審のために保存してあると思われ、そうなると遺留品の試料を科捜研が使い切ってしまったと言う事でしょうか。科捜研も警察である事を考えれば、ある意味、同僚の証言と言う事になります。

冤罪の場合、警察側に味方が多すぎます。検察、科捜研、裁判所(地裁、高裁、最高裁)。対する被告側にはそんな、資力も人もいない。

権力側の暴走を監視する仕組みがなくてはならない、と思うんですが、どうしたら・・・。

投稿者 鉄馬 : 2009年6月27日 22:36

鉄馬 さん
>被害者側に残された犯人のものと思われる試料、又は、久間三千年さんの試料、どちらを使い切ってしまったのでしょう。
他の記事を当たってみましたが、「使い切ってしまった」という記述はみつかりませんでした。
状況を想像してみると、「被害者側に残された犯人のものと思われる試料」は微量な血液だと警察がゆってるもので、こちらのことを指しているものと思われます。

冤罪File2009.3に詳しいですが、その試料を帝京大の石山昱夫(いくお)名誉教授も鑑定していて、一致しないという結果を出しています。(1994.9.24朝日夕刊)
で、福岡県警も逮捕を見合わせていたが、初動捜査に失敗していたか、その後も久間さんをあきらめず別件で逮捕して事件化してしまったということです。

科警研の「ほぼ一致」という漫画みたいな結論で突っ走ったということです。
血液型でも「ほぼ一致」というのはあり得ないですが、それをDNA鑑定でやってしまうというデタラメぶりです。足利事件とまったく同じ構図です。
数字が1違えば別人なのに同じとしてしまう神経は狂ってるとしか言いようがないです。

当時、もっとも聞かなければならない専門家を無視した暴挙を福岡県警が強引にやってしまった事実は重いですし、今後責任問題になると思いますね。

久間三千年さんの試料が残っているかが心配ですが、過去に石山教授が久間さんの毛髪で鑑定しているのでその時の欠片が残っているかもしれないですね。
そのときの鑑定方法はミトコンドリア法とHLADQB法でいずれも犯人の血液とは一致してない結果がでています。
科警研が当時だした鑑定を、同じ方法でしかし技術が優れた鑑定人が行って違いを証明する方法も考えられます。
MCT118法・・16-26型
HLADQα法・・1.3-3型
だとして両方の方法で「一致した」(ほぼ一致という意味)と科警研は答えを出しています。

技術が劣るものがやるとまともに答えがでないといわれていて(やるたびに答えが違う)、同じ手法でもすぐれた専門家がやって、当時出させれた結果と違う答えがでれば当時の鑑定方法に問題があったことは証明できそうです。

投稿者 管理人 : 2009年6月28日 01:40

たまたまですね「DNA鑑定」という本を読みました。

飯塚事件のところ、記事にしましたのでよろしかったらご覧ください。

殺された冤罪被害者。鑑定をねじまげる警察 「飯塚事件、第一の問題」
http://enzaix.jugem.jp/?eid=1019

DNA鑑定は決して「科学的」ではない。警察は結果を変えられる 「飯塚事件、第二の問題」
http://enzaix.jugem.jp/?eid=1020

投稿者 enzaix : 2009年6月30日 02:01

enzaix さん

書籍紹介ありがとうございます。

足利事件のあと、最高検だったかが「試料を保存しろ」と慌てて通達をだしたのも他にも同様な事件があることを念頭に入れたものだったのでしょう。

『DNA鑑定――科学の名による冤罪』から
第2部 DNA鑑定と事件
 第4章 足利事件
 第5章 大分みどり荘事件
 第6章 幼女連続誘拐殺人事件(M君事件)
 第7章 飯塚事件
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http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/danmen/danmen2009/0604.html
2009年6月4日(木) 東奥日報 特集
   
■ 足利事件釈放/信頼性揺らいだ旧式鑑定

 栃木県足利市で1990年に保育園女児が誘拐、殺害された足利事件は、無期懲役が確定した菅家利和(すがや・としかず)さん(62)が4日、釈放され、重かった再審への扉が開いた。最高検は全国の地検に旧式DNA鑑定の関連証拠の保全を要請したが、確定した事件ではすでに処分された可能性もある。旧式DNA鑑定の信頼性が揺らぐ中、受刑者らが再審請求のためにDNAの証拠を利用できるようにするなど法整備を求める声が強まりそうだ。

 ▽白旗

 「釈放は避けられない」。菅家さんと女児の着衣に付着していた体液のDNA型が不一致との再鑑定結果を通知された5月8日直後、検察当局は、最高検に伊藤鉄男(いとう・てつお)次長検事を筆頭とする調査チームを立ち上げ、捜査から公判までを検証することまで想定、事実上の“白旗”を上げていた。

 だが、捜査段階でDNA鑑定をした警察側の反応は違った。「捜査員の汗などが被害者の着衣に付着した可能性もある」。捜査員のDNAと一致すれば、弁護側の試料は事件後に付着したものとなり、無罪の証拠にはならない。捜査員ら約70人の鑑定要望に対し、検察内部では「裁判官なども触っている可能性もある。これ以上の鑑定は意味はない」との否定的な意見が強かったが、押し切られる形になった。しかし結果はいずれも不一致だった。

 ▽再鑑定不可能

 警察が押収した証拠品は通常、警察署の証拠品保管庫で保存し、血液などの生体試料は専用冷凍庫がある各都道府県警の科学捜査研究所(科捜研)に回す。

 警察庁は92年に策定したDNA鑑定の運用指針で鑑定試料はマイナス80度で保存することを定め、血液など劣化しやすいものを中心に冷凍保存している。

 だが「指針は再審請求に備えて永久的に冷凍することを指示したものではない」(警察庁)。鑑定後に残った試料は判決確定までは科捜研で冷凍保存するが、確定後は検察の判断で処分されているという。

 福岡県飯塚市で92年、小学1年の女児2人が殺害された事件でもDNA鑑定の信用性が争点となった。足利事件と同時期で、鑑定方法も同じだ。弁護側は「鑑定の精度や実施方法に問題がある」と主張したが死刑が確定し、久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚は昨年10月に執行された。この事件では当時の鑑定で試料がなくなり、再鑑定は不可能になっている。

 ▽230人の冤罪

 米国では90年ごろから、有罪確定後のDNA鑑定で無実が相次いで発覚。米国の民間非営利団体(NPO)「イノセンス・プロジェクト」によると、死刑囚を含め既に230人以上の冤罪(えんざい)が明らかになっている。

 米国の冤罪に詳しい高野隆(たかの・たかし)弁護士は、最高検が決めた証拠品の保全について「捜査当局が押収した証拠、特にDNAを含む生体試料の保全ルールをつくるのは大きな進歩」と一定評価。

 一方、米国の多くの州では、DNA試料を有罪確定後も保存し、被告や受刑者側がアクセスする権利が認められているとして「日本では、保存されたDNA試料を使える権利はなく、再審請求できないケースがたくさんある。法整備が必要だ」と話している。

 刑事裁判に精通した元裁判官の一人は最高検の措置について「やらないよりましだが、遅きに失した」と批判している。
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投稿者 管理人 : 2009年6月30日 11:16

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