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2009年10月 3日

市民を裏切れない ~ 元埼玉県警察学校長・田中三郎さんの気概


公務員には不正を告発する義務がある
 
ですが、こんな当たり前なことさえも知らんぷりする忌々しい現状があります。
「高知白バイ事件」はその典型といえます。
大勢の警察関係者らによって現場の路面が目撃されました。
最も間近で見たもの、地べたにへばりついて見ていたもの、じっと見つめていたものがいました。

不審に思ったからこそ、引っかかるものがあったからこそ、そこに目が釘付けになったはずです。
事故現場は見慣れているはずの警察官でさえ、見た事がない得体のしれない痕跡があったからです。
   ● 支援者さんのエントリーで現場警察官たちの不審さを取り上げています --> こちら


いずれ明かされる時が来る  彼らはどう弁解する気だろうか

・・・ 不正を告発しなければならないご仁たち  告発義務 (刑事訴訟法第239条第2項) ・・・
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※LM737さんよりコメントをもらい、寸法を測っているものだと思い込んでいましたが、
指摘されるとなるほどと、目からウロコです。思い込みというのは目を曇らせるものです。
棒状の物差しでもなく、また端がないので巻き取り式メジャーでもなく、
しかも端をつまんでいるように見え、厚みもありそうです。
材質・使用目的はなんであれ、このような道具っぽいものがそこらに転がっていたとは考えられず、
あらかじめ準備されているのだろうという傍証となるでしょう。
「これって何?」「こんなものでいったい何をやっていたの」と突っ込むのも一考ですね。
2009.10.6追記

・・・ この3人もしっかり目撃している ・・・
RKC070607_2.jpg


で、今朝の「特報」です。
先月、東京新聞2009.9.12朝刊に載った「高知白バイ事件」が中日新聞の方にも載るかと心待ちにしているところです。
が、まだ実現していません。
東京新聞に掲載された2日後に、社員による痴漢事件が報じられ、
それが物言わぬメッセージだと受け止めてしまって、それで掲載を躊躇したのかと邪推していました。
警察にとってこの「高知白バイ事件」は報道してほしくない事件に違いありません。
中日グループすべてに載れば340万部となり、これまでネットにご縁のなかった人にも、
またテレビでスペシャル番組を見逃したが新聞を読む読者にも、事件のことが知られてしまいます。
心穏やかでいられるはずはありません。
電波のように消えてなくなるものでもなく、ずっと文字として残りますから、
載せてほしくないという思いは余計に強いでしょう。
そういう背景があって痴漢事件がでてきたのかなと勘ぐったりしていました。

そんな折、
消えた助成金 前任者を告発」と題して警察学校長と副校長を刑事告発している事件が「特報」に載りました。
「へこたれない人々」シリーズの一環ですが、ここに登場するお人は
「自分にうそをつくな」が口癖だそうです。
警察官は何より清廉でなければならない」「市民を裏切れない」と、
その気概に敬服いたします。

元埼玉県警察学校長だった田中三郎氏です。
氏は元警察学校長、元同副校長らを業務上横領の疑いで刑事告発しました。
そういえば、警察を告発してらっしゃるお方に仙波敏郎氏がいらっしゃいます。
氏は巡査部長という現職警察官の身分でありながら愛媛県警を裏金問題で告発されたお方です。
「警察はやろうと思えば、証拠の捏造でも、犯人のでっち上げでも、
犯罪の揉み消しでも何でもできる、恐ろしい組織だ」と発言されています。

消えた助成金 前任者らを告発 市民を裏切れない 元埼玉県警察学校長・田中三郎さん
中日新聞2009年10月3日 から一部引用します。

刑事告発したのは、退職後の十二月六日のことだった。告発状などによると、元校長らは共謀して、警察学校内で売店を経営する会社から同校の親睦団体・校友会に対する助成金約百二十五万円を着服した。
 詳細を田中が語る。
 「〇五(平成十七)年三月。校長に着任して引き継ぎ書類を見るうちに、その事実に気付きました。四カ月ごとに校友会に入金されていた助成金が前年四月に突然消えた。事務員に事情を聴くと『校長の指示だからと言って副校長が持っていった』と。これは変だ」

案の定、検察は嫌疑不十分として不起訴処分にしています。
高知白バイ事件と同じ経緯を辿っていますが、
検察審査会で埼玉県民がどう判断するのか、関心をもってみています。
きちんと起訴して裁判にかけるのがスジだと思いますし、
検察審査会で起訴相当を2回出せば起訴できるので、そのゆくえが気になります。

不法の意思 地検認めず

 今年八月三十一日、さいたま地検は元校長らを不起訴処分(嫌疑不十分)とした。元校長らに現金が渡った事実は事務員の証言などから疑いようもなかった。だが地検は「(元校長らが)不法に自分のものにしようとした意思が認められなかった」と説明した。
 「職員の飲食に使った」という元校長らの説明は、金額などに不審な点が多かった。だが地検は、お金の使途の詳細に言及することもなかった。

「現金渡った時点で犯罪」
 田中を支える弁護士の清水勉は「百万円を超えるお金が職員の飲食に使われた形跡はない。仮にそうだったとしても、現金が副校長に渡った時点で犯罪は成立しており、お金を何に使ったかは、情状の問題であって、犯罪の成否の問題ではない」と地検の判断に疑問を投げかける。
 近く検察審査会への審査申し立てに踏み切るつもりだ。

消えた助成金 前任者らを告発 市民を裏切れない 元埼玉県警察学校長・田中三郎さん
中日新聞2009年10月3日
クリックで原寸大
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28万の巨大権力組織(うち25万人が警察官)
自衛隊が25万ですから、ほぼ同じ規模です。
が、警察には武器の携行を許されるだけではなく最強の国家権力である逮捕権が付与されています。
それらを無闇に振り回してはいけないよと、警察法第2条で厳しく戒めています。
それでも足りないと思ったのか、第3条で「宣誓」までおこなわせています。
公務員を規定する各種法律で「宣誓」までさせている法律はほかにありません。
そうまでして警察官を律しなければならないほどの権力を与えていることの裏返しだ、と理解しています。
が、実際の現場はどうでしょうか。

全国の警察署で裏金が作られ、流用着服問題は記憶に新しいところですが、
それ以後も相も変わらず行われているところに問題の根深さを感じます。
こんな体たらくの中、警察がこの世で存在することを許されている根拠法である警察法の趣旨をきちんと理解し、
そして実行している警察官または職員がはたして何人いることか。

警察官にも、公務員として刑事訴訟法、第239条 第2項で告発が義務付けられています。

官吏又は公吏がその職務を行うことにより犯罪があると思料するときは告発しなければならない

ところが現場ではどうでしょうか。
見て見ぬ振りでやり過ごしているのが現状ではないでしょうか。
裏金づくりが平然と行われ、不祥事は後を絶たず、
極め付きは善良な市民に罪を擦り付けて、しらっとしていられる県警があると思うと、
情けないやらほとほと呆れます。

警察法
(この法律の目的)
第1条 この法律は、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持するため、民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、且つ、能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織を定めることを目的とする。
(警察の責務)
第2条 警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。
2 警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。
(服務の宣誓の内容)
第3条 この法律により警察の職務を行うすべての職員は、日本国憲法及び法律を擁護し、不偏不党且つ公平中正にその職務を遂行する旨の服務の宣誓を行うものとする。
実際に起きている今の状況を見るに見かねて、 民主党はマニフェストに警察を監督する公安委員会の体制を強化することを掲げています。

■ 民主党政策INDEX2009 内閣「警察改革」 --> こちら
警察法まで踏み込まないと仕組みが変えられず実効性が得られないですが、まだそこまで詳細が詰められていないようです。

警察改革

捜査用報償費等を裏金化していたとされる不正経理や情報の漏洩、警察官による犯罪等さまざまな不祥事が続発し、警察行政への信頼が低下しています。これら警察不祥事に関して公安委員会の存在感は極めて薄く、その役割が改めて問われています。

警察を監督する公安委員会の体制を強化するとともに、その事務を警察自身が行っているという矛盾を解消するため、国家公安委員会・都道府県公安委員会に独立した事務局を設置します。また都道府県知事や都道府県議会による監督の強化や、苦情処理制度を大幅に拡充し、市民の声を反映した警察行政を実現します。

市民を裏切れない 消えた助成金 前任者を告発

元埼玉県警察学校長・田中三郎さん(62)
 秋風が吹き始めた庭を眺めて、田中三郎(六二)は、自宅にいた。写真撮影をお願いすると、きまじめに背広、ネクタイに着替えてくれた。応接セットの向こうには、警察手帳をコピーした埼玉県警のエンブレムが飾ってある。

いざに備えスキ見せず

 「人に聞かれれば〝自宅待機中″と答えています。誰が来ても、あるいは呼ばれても、いつでも対応できるようにです。
あの日から警察の仲間たちとのつきあいは絶ちました。迷惑がかかっても困りますから。酒は一滴も飲んでいません。いざというときに不覚を取ってはいけないので」
 ひとつひとつの言葉を確認するように語る。

 二〇〇七(平成十九)年九月。田中は六十歳定年を半年残して、四十年間勤め上げた埼玉県警を退職した。三つの署長、警察学校長などを歴任し、階級は警視正だった。高卒のノンキャリアとしては、ほぼ最高の地位まで出世した。普通なら外郭団体の専務理事などに天下るのが通例だ。
だが、再就職の斡旋はすべて断った。機関誌「秩父嶺」には、こんな最後のコメントを残した。
 「素晴らしい後輩の皆さんへ。『警察職員は憂えず懼(おそ)れず』。制服のときも非番のときも、家族とくつろいでいるときも、県民の方々が素朴に思い描いている格好のいい警察官、心から拍手を送りたくなるような強くて頼りになるお巡りさんを演じ続けてほしいと願っています。『自ら反みて縮(なお)くんば千万人と雖(いえど)も吾往(われゆ)かん』(略)」
 田中が前任者の元警察学校長、元同副校長らを業務上横領の疑いで刑事告発したのは、退職後の十二月六日のことだった。告発状などによると、元校長らは共謀して、警察学校内で売店を経営する会社から同校の親睦団体・校友会に対する助成金約百二十五万円を着服した。
 詳細を田中が語る。
 「〇五(平成十七)年三月。校長に着任して引き継ぎ書類を見るうちに、その事実に気付きました。四カ月ごとに校友会に入金されていた助成金が前年四月に突然消えた。事務員に事情を聴くと『校長の指示だからと言って副校長が持っていった』と。これは変だ」

動かぬ本部改革どこへ

 資料を集め、教職員から事情を聴いた上で本部に持ち込んだ。いずれは何らかの処分が発表されるものと考えていた。だが、待てど暮らせど動きはなく、それどころか田中は、この件に関する情報から遠ざけられた。
 不信感が募り、やがて憤りに変わった。
 「警察は公明正大に生まれ変わったはずではなかったのか」
 これに先立つ二〇〇〇年ごろ、全国の警察で不祥事が相次いだ。危機感を抱いた国家公安委員会、警察庁は「警察改革」に着手。「警察改革要綱」をまとめた。田中自身も改革にかかわり、警察庁に出向後、二年間の九州管区勤務を経て古巣の埼玉県警へ帰ってきた。よもや、そこでこのような不透明な金銭処理がされているとは思わなかった。
 長い間、一人で悩んだ。見ないふりを決め込むこともできる。
 巡査の時代から、つらくとも楽しかった警察官生活の思い出が頭を駆け巡った。微罪で取り調べた容疑者が実は爆弾事件の全国指名手配犯で、本人に告白され、大騒ぎになったこと。警備訓練で山中を大汗をかいて走り回ったこと...。そうやって人生のすべてを注ぎ込んだ県警を、〝告発″することなどできるのか。
 だが、どうしても譲れなかった。生まれ故郷の栃木県藤岡町で農業を営んだ父は、郷土の英雄で足尾鉱毒事件と闘った田中正造翁を敬愛していた。口癖は「自分にうそをつくな」。そのせいか、田中は節を曲げるのが何より嫌いだ。

 地元の高校を卒業後、最初はあこがれだった航空会社に入り、整備士の見習いになった。だが備品を持ち帰るなどの〝不正″が横行する職場に嫌気がさした。「不正と対決できる仕事はないか」。そう考えて、第二の仕事に警察官を選んだ。
 巡査部長で警務部勤務のころ、上司の課長が公用車をひどく乱用していた。やはり悩んだあげく、警務部長に事実を伝える手紙を書いた。手紙を官舎に届けたら退職しようと考えていた。長女を身ごもっていた妻は泣きじゃくって反対したが、止まらなかった。このときは警務部長が「僕に任せてくれないか」とすべてをのみ込んで、改善してくれた。
 警部時代には、大手警備会社へ行政処分を執行する直前に上司からストップがかかった。警備会社のトップと警察庁上層部に何らかの取引があったと直感し、徒手空拳で警察庁に乗り込んだ。キャリア官僚を相手に直談判し、「時期を遅らせただけだ」という文言を勝ち取った。後に警備会社は「指示処分」を受ける事態となった。
 こうした経験から、田中は「警察とは想像していたよりずっと懐が深い組織だ」という感慨を持っていた。そうした組織で働けることに誇りと喜びを感じていた。ところが、今度ばかりは、その信頼が裏切られたのだ。

不法の意思 地検認めず

 今年八月三十一日、さいたま地検は元校長らを不起訴処分(嫌疑不十分)とした。元校長らに現金が渡った事実は事務員の証言などから疑いようもなかった。だが地検は「(元校長らが)不法に自分のものにしようとした意思が認められなかった」と説明した。
 「職員の飲食に使った」という元校長らの説明は、金額などに不審な点が多かった。だが地検は、お金の使途の詳細に言及することもなかった。

「現金渡った時点で犯罪」

 田中を支える弁護士の清水勉は「百万円を超えるお金が職員の飲食に使われた形跡はない。仮にそうだったとしても、現金が副校長に渡った時点で犯罪は成立しており、お金を何に使ったかは、情状の問題であって、犯罪の成否の問題ではない」と地検の判断に疑問を投げかける。
 近く検察審査会への審査申し立てに踏み切るつもりだ。
 田中は語る。
 「三度警察学校に勤務して、この学校では教えられていないことが、ひとつあると知りました。
それは本当の意味での〝倫理″です。『天知る、地知る、子知る、我知る』。警察官は何より清廉でなければならない。また公務員には不正を告発する義務がある。
見て見ぬふりをするだけで、市民を裏切っています。この一件が片付いたら、本当の意味での引き継ぎがしたい。それで晴れて退職です。その晩は、少し飲ませてもらいましょうか」
    =本文敬称略 (坂本充孝)
警備訓練中の田中三郎さん(左から2人目)。23歳のころ=田中さん提供

たなか・さぶろう 1947年8月15日、栃木県生まれ。茨城県立古河第一高校卒。67年7月、埼玉県警巡査に採用される。少年課長、交通部理事官、西入間署長、越谷署長などを経て2005年警察学校長。趣味は読書(中国文学)。
「警察官は何より清廉でなければならない」と話す田中三郎さん=埼玉県蓮田市で

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投稿者 hal : 2009年10月 3日 08:27

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