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2010年2月17日

ABSを知らなかった?「運動量保存則による計算」

【 追記:鑑定書の中で「運動量保存則を用いる」という言葉を見つけたら、十中八九でたらめです。 】追記記事

支援者さんのエントリーで科捜研算定書のコピーがアップされています。
   ◆ --> こちら
読みずらい部分もあり、体裁を整えてみました。
undoryoHozon.gif

パッと見にはアカデミックぽく作られています。図もありもっともらしい計算式もあります。
なにを根拠に算定書が作られ、法廷に証拠として出されたかを解きほぐさないと反論もできません。
さっそく見ていきます。


ざっと見て分かることは、
ず答えが先にあって、それへの理屈付けがされているということです。
前提条件を決め、それに沿った衝突ストーリーを考えてこの算定書が作られています。
求めたい結果、
言い換えれば、警察が描いたストーリになるように前提条件を決め、
ストーリーが作られているのが見て取れます。

というのは、真っ先に「運動量保存の法則」がでてきていることです。
衝突の瞬間から大破もせずに2台が合体したまま最終停止地点まで進んだという
黒岩前交通部長も力説した警察・検察ストーリーをもっとらしくしする必要があったからです。
どうしても理論付けをしなければならないという内部事情があったわけです。

それにピッタンコなのが「運動量保存の法則」ですね。

実際の事故状況が2台が合体してすすみ、
3m進んでところでおもむろに砕け散ったというなら
「運動量保存の法則」も一部は適用も可です。

が、その論理は綻びだらけであり、すでに破綻しています。
百歩譲ってその理論で先に進めたとしても、
バスと白バイが大破したことの理論的な説明を要求すれば全く答えられないはずです。
このような計算式まで使って事故状況を説明したからには、
大破したことも同じように計算式を使って説明できなくてはオカシイですからね。
計算式でなくとも物理用語を使えば文字だけでも十分に説明できますから、それでももちろんOKです。
是非とも科捜研の技官に説明してもらいたいものです。

ちなみに、この式は従来からある
「ブレーキをガ~ンと踏んで車輪がロックしタイヤ痕を路面につけながら停止するまでの距離と路面の摩擦係数と車両の速度の関係」
を現しているもので、
ABS搭載車両ではこの式が当てはまりません。

そもそもABS(アンチロックブレーキングシステム)というのは、
ブレーキを思い切り踏んでも可能な限りタイヤをロックさせないで、
路面との摩擦を最大限に利用して車両を止めるブレーキシステムです。

タイヤがロックしたらそれこそ洗面器が路面を滑るごとくどこへ飛んでいくかわからず、
操舵も効かず大事故につながることからこのABSが考案され実用化されました。
きょうび、多くの車両にABSが搭載されています。

当然のごとくスクールバスもABS搭載車両です。
そして同一車両でブレーキ実験が何度も行われました。
なんどやっても同じデータになり、信頼できる実験データが得られています。
車速10km/時、前輪でわずか30cmほどが付く程度です。

同時に後輪の方にはそれより長いタイヤ痕が付くのもしっかり検証されています。
後輪のブレーキ痕の方が長いがポイントなのに、事故現場には後輪のタイヤ痕のカケラもありませんでした。

自動車メーカの技術者もあり得ないと証言しています。

なにが言いたいかといえば、
同じ車速、路面など条件が同じでも、ABS搭載車はタイヤ痕が限りなく短くなるということです。
そうなるように開発・設計されているんですから、当たり前です。
もしABCがついているのに1.2mもタイヤ痕がついたらそれこそ大問題となり、
即刻販売停止、国土交通省から指導が入り全数がリコールされるはずです。
そんな車には危なくって乗ってられない、からです。

算定書で一生懸命計算してくれていますが、
どんなに前提条件を拵えようとこの式では事故状況を説明できないことに気がつかないといけないです。
ダメ押しになりますが、衝突直前の白バイの速度が
 μ=0.7:28.0km/h、μ=0.8:29.9km/h という車速で衝突しても大破壊はおきません。

 支援者さんのエントリー にアップされてる写真
busTaiha_s.jpg

私もいろいろ調べてきましたが、
裁判でもその他の説明の場でもこの視点はでてきていません。
ここに突っ込まれたら窮するのは明らかであり、グーの音もでないはずです。
すでにストーリーが破綻しているのですから当然といえば当然ですが。

交通事故といえども単なる物理現象ですから、
大きく壊れるにはそれなりの理由づけができるはずです。
が、警察がそこに立ち入ろうとしてこなかったことで、
実は白状しているということと同じだということを理解しているだろうか。

ところで、科捜研でこの算定書をつくった技官の人なら
次の書き込みの意味は勿論わかるでしょう。秀逸な書き込みです。
思い切り皮肉ってますが・・・
内容もさることながらその日付です。
「きっこの日記」で全国に知れ渡ることになってわずか3ヶ月です。
当時はいまほど情報がでていなかった時点だったですが
、実に適確に事故状況を検証しています。脱帽です。
名前がわかれば是非とも会って話が聞きたいお方です。

11 :名無しピーポ君:2008/01/01(火) 12:54:30
バスは車道に入る手前で一旦停止した
その時、右をちらっと見ただけで車道に出た
その時、白バイは16.7km/h×5秒の83.5m先を60km/hで走っていた
バスが6.5メールを5秒かけて進んだ時には人が早足で歩くぐらいのスピードが出ていた
その地点で、右手から来た白バイをはねた
その瞬間東に3.9メートル吉岡隊員がはね飛ばされた
白バイは1.7メートルバスにくっついて立ったまま人の歩く程度の速度で進んだ
または、白バイは浮き上がったまま人の歩く速度で空中を移動した
バスは1.7メートル空走後、急ブレーキがかかった
その証拠が1~1.2メートルのブレーキ痕

バイクはバスに急ブレーキが掛かり始めた地点で斜めにバスの下に潜り込んだ
その証拠がレ形のタイヤ痕やバンパーなどの擦過痕

バイクはゆっくりと約3メートル引きずられた
うち1.2メートル引きずられた跡が残った
バスがゆっくり停止してから、急に部品が砕け散った
停止してから急にラジエーターの液体が噴出した

道路の勾配に沿って流れた
タイヤの下にバイクから漏れたラジエーター液か、オイルか、体液が溜まった
停止してからサイドボックスのフタが開いた

あびすけさんのブログで盛んに書き込みがされていて、そこにおじゃま虫で横槍を入れたときのコメントです。 --> こちら
どの位置で大破したのか
大破した結果は明確に残っているのにどの地点で大破に至る大きな衝撃力が発生したかに踏み込まないのはあり得ないでしょう。
大きな衝撃力が発生するには短い時間に大きな加速度が生じる必要があります。そしてその短い時間というのは100ms、これはヤマハ発動機にて止まっている車にバイクを衝突させ、運転者の胸部に受ける衝撃力や、加速度が詳細に記録されています。わずか0.1秒で衝突のほとんどが終わっているのが、最大のポイントです。
   ■ 衝突の瞬間を検証してみる --> こちら

大破が起きた以上、この視点からの検証は外せないということです。
そして真の衝突地点がどこだったかも必然的にあぶり出されます。この視点で事故状況を検証すると、上の書き込みの意味もおのずとわかってくると思います。

  http://hachiman-kumori.blog.so-net.ne.jp/2008-11-19

コメント欄を全部まで拝見していませんで、議論が進んでいたことも知りませんでした。
0.1秒の話がされていて、目がとまりました。大きな衝撃が発生する時間についての議論は巨大掲示板でも、ほかのサイトでも見かけませんでしたのが、なんかお仲間が増えたようで新鮮な感じがします。(笑)
それはさておき、

白バイ本体の運動エネルギーと隊員の運動エネルギーが「白バイがバスに接触し双方の破壊が進み、白バイが停止するまでの時間」でゼロになるという基本的な理解がまず必要だと思います。
あびすけさんはそれを理解されて説明されていますね。お節介のようで恐縮ですが、まだ理解に至ってない?ひと向けに能書きをたれてみますね。

衝突の瞬間から、動いていた物体の運動エネルギーはどんどん消費されていきますね。やがてゼロになります。
(この際、道路はほぼ水平だとして位置エネルギーの変化はないものと仮定しておきます。)
バスの屈強なバンパーをへし曲げフェンダーも壊し、白バイの左側面が大破し、隊員も損傷(プロテクタも破損)を受け、路面での摩擦や削り・・などにすべての運動エネルギーが消費されて、ついには白バイも隊員も停止します。

その中で一番多くのエネルギーが使われたのが「バスのバンパー・フェンダーの破損と白バイ左側の破損」だと見るのが合理的だと思います。
それは破損の大きさから判断しています。

となるとその大破がおきるには大きな衝撃力が発生しなければなりません。ある速度(60kmと認定されているがそれ以上だったと推定される)で突っ込んできて、ほぼ壁状のところに衝突した状況であり、そこでマイナスの加速度(この場合は衝突なのでマイナスの加速度)が生じたはずです。
おおきな衝撃力となるにはおおきな加速度が生じなければならず、その大きな加速度が生ずるには短時間で速度がゼロにならなければなりません。
その衝突実験をヤマハ発動機がやっていました。また衝突シミュレーションソフトでもほぼ同じ結果になっていますがあびすけさんが指摘されているように0.1秒の間で大部分の運動エネルギーが消費されるということですね。

逆にいえば、ダラダラと1秒~もかけて運動エネルギーが消費されたとしても加速度がおおきくならずおおきな衝撃力にならず、結局、大きな破壊にはいたらないということですね。

「ダラダラと1秒~」これは裁判で認定された警察が主張する衝突ストーリですね。衝突した瞬間から合体して3mほど進んで、停止したと主張してますから1秒じゃ足りないかもしれません。
そして速度が人の駆け足くらいの速さからゼロになる地点のほんの手前の地点でおもむろに大破壊がおきたというんでしょうね。(皮肉ってます)
実は裁判でも警察・検察ストーリーでもなぜか、この議論はまったくでてきません。不思議です。
ここに立ち入ったら衝突地点が焙りだされてしまうので意図的に避けているのだと理解していますがどうなんでしょうか。
最後になって恐縮ですが、
このエントリの主題である「バス正面の凹損」ですが、隊員の頭部(ヘルメット)だと推定しています。

長々と妄想が過ぎ、失礼しました。

by Goodbyeです (2009-09-22 17:03)

参考:
できるだけ数式も文字で表現しようとしていますが限界があります。ご勘弁ください。

「別紙 運動量保存則による計算」

shototu.gif以下の記号を使用する

白バイ質量:m1 [kg]
白バイ衝突直前速度:V1 [m/s]
バス質量:m2 [kg]
バス衝突直前速度:V2 [m/s]
衝突直後両車両速度V'[m/s]
 

衝突直前は、白バイとバスがそれぞれ直行する方向に進行し、衝突後、一体となって運
動した場合、以下の運動量保存則が成立する。

m1 V1=(m1+m2)V'sinθ
    ∴ V1=(m1+m2)V'sinθ/m1
m2 V2=(m1+m_2)V'cosθ
    ∴ V2=(m1+m2)V'cosθ/m2

また、衝突後の速度は、バスのタイヤ痕bの長さL=1.2m、重力加速度g=9.8[m/s^2]、タイ
ヤと路面間の摩擦係数μから次のように計算する。ここで摩擦係数はμ=0.7~0.8とする。
V'=√2μgL=4.06~4.34[m/s] (=14.6~15.6[km/h])

各車両の質量は、それぞれの乗員を含んだ場合と含まない場合について計算する。
θは別添付図8よりθ=4°となる。
乗員質量をすべて含む場合(θ=4°)
m1=260+55=315,m2=6980+1441=8331
衝突直前の白バイの速度
μ=0.7:V1=(315+8331)×4.06×sin(4°)/315=7.77[m/s]=28.0[km/h]
μ=0.8:V1=(315+8331)×4.34×sin(4°)/315=8.31[m/s]=29.9[km/h]
衝突直前のバスの速度
μ=0.7:V2=(315+8331)×4.06×cos(4°)/8331=4.20[m/s]=15.1[km/h]
μ=0.8:V2=(315+8331)×4.34×cos(4°)/8331=4.49[m/s]=16.2[km/h]

2 乗員質量を含まない場合(θ=4°)
m1=260,m2=6890
衝突直前の白バイの速度
μ=0.7:V1=(260+6890)×4.06×sin(4°)/260=7.79[m/s]=28.0[km/h]
μ=0.8:V1=(260+6890)×4.34×sin(4°)/260=8.33[m/s]=30.0[km/h]

衝突直前のバスの速度
μ=0.7:V2=(260+6890)×4.06×cos(4°)/6890=4.20[m/s]=15.1[km/h]
μ=0.8:V2=(260+6890)×4.34×cos(4°)/6890=4.49[m/s]=16.2[km/h]

これらの場合分けでは、乗員質量の影響は少ないことが分かる。


【 追記 】
『交通事故あれこれ』ブログ「交通事故鑑定で用いられる物理学 その7」から転載させていただいています。 --> こちら
交通事故鑑定で用いられる物理学 その7

今回は前回のベクトルの知識をフルに活用して運動量保存則について書いていきます。

先ずは運動量の説明から。運動量とは質量m[kg]×速度 V[m/s]で表されるベクトル量のことです。ベクトル量ですので、計算するときには方向も考える必要があります。理由は後で述べますが、交通事故鑑定で運動量保存則は用いることはできませんので、もし鑑定書の中で「運動量保存則を用いる」という言葉を見つけたら、十中八九でたらめです。

運動量保存則とは、「衝突の直前」→「衝突」→「衝突直後」という過程で、衝突を介しても運動量は変わらない(保存される)ということです。言葉で示すと何だか掴みどころがないので、今の説明を式で表すと、
raptor7_1.jpg https://docs.google.com/File?id=dg25c766_65gs8gvgd5_b

ということです。それでは具体例を示して計算して見ましょう。

1次元(直線上)での運動量保存則
raptor7_2.jpg https://docs.google.com/File?id=dg25c766_66gh2tbnhq_b
図 1は、質量m[kg]、速度v[m/s]で運動する物体とM[kg]、速度V[m/s]で運動する物体が衝突するところを模式的に示しました。衝突後、そ れぞれの物体は速度を-v′とV′(図1の左から右方向を正に取っています)となりました。このときの衝突前と衝突後の運動量を求めると、運動量は(質 量)×(速度)ですから、
raptor7_3.jpg https://docs.google.com/File?id=dg25c766_67g833mgdz_b

となります(※速度はベクトル量ですので、方向を考える必要があることを忘れないで下さい)。したがって、図1での運動量保存則は、
raptor7_4.jpg https://docs.google.com/File?id=dg25c766_68frn4cpgg_b

となります。

例えば、

「質量100[kg]のA車が5[m/s]で走行中に、質量200[kg]のB車がA車の前を2[m/s]で走行していたところ、A車から追突をされてしまいました。追突後、A車とB車は一体となって運動しました。このときの衝突後の速度はどの位になるでしょうか?」

この問題を図にしてみると、
raptor7_5.jpg https://docs.google.com/File?id=dg25c766_69hd4gfrgq_b

図2のような運動になります。そして、衝突前後の運動量は、
raptor7_6.jpg https://docs.google.com/File?id=dg25c766_70ch4bs5cw_b

となります。一体ということは2つの物体が合体して一塊になって運動するということですから質量はm+Mになります。よって、運動量保存則より、
raptor7_7.jpg https://docs.google.com/File?id=dg25c766_71d889nscn_b

となります。よって、求めるべき値は衝突後の速度V′ですから、この式をV'について解き、数値を代入すると、
raptor7_8.jpg https://docs.google.com/File?id=dg25c766_72fcpb8bxb_b

となり、衝突後の速度は3[m/s]と求めることが出来ます。

2次元(面上)の運動量保存則

1次元では直線上だけ(軸は1本)でしたので1本の式だけで解を求めることが出来ました。2次元では、縦と横(x軸とy軸)の軸が2本になります。
raptor7_9.jpg https://docs.google.com/File?id=dg25c766_74jjrsqkdc_b

図 3は平面上を運動している物体が衝突した場合を模式的に示したものです(x軸は左から右に向かう方向を正、y軸は下から上に向かう方向を正とします)。2 次元の運動を考える時には、おのおののベクトルをx軸方向とy軸方向の成分に分解して考えます。そうすることによって、どんな方向のベクトルであってもx 成分とy成分で考えれば良いので計算が楽にできるのです。

図3の様子を式で表すと、
raptor7_10.jpg https://docs.google.com/File?id=dg25c766_75f3bt9ngx_b
となります。当然ですが、3次元になるとz軸の式が加わり式がx成分、y成分、z成分の3本必要になります。このように、運動が1次元から2次元になるだけでも計算は複雑になります。「鑑定書を読むときのポイント その5」 で、「実際の交通事故を計算可能にするためには、交通事故を単純化する必要がある」と書きました。実際の交通事故をそのまま計算することは変数が多すぎて 不可能です。逆に、単純化しすぎても解に意味があ りません。なぜなら、2次元の現象を1次元で表すことは不可能だからです(あたり前ですが、1次元には横という概念はあっても縦という概念はありませ ん)。 したがって、計算モデルの妥当性と代入する数値の妥当性の両方に妥当性があったときのみ計算結果に意味があるのです。この部分をすっ飛ばしている鑑定書は ダメダメな鑑定書ということになります。

最後に、冒頭で述べた運動量保存則は交通事故鑑定では十中八九使えないという理由は、運動量保存則の式を見てもらえば分かるとおり、求めたい速度以外の速度が既知でなければならないからです。交通事故において、衝突直前の速度や衝突直後の速度を客観的に知るためには計測器で計測をする必要があります。その結果、運動量保存則は未知数が多すぎて解くことが出来ないのです。


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投稿者 hal : 2010年2月17日 00:34

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